認定特定非営利活動法人ファミリーハウス

Let's Study

Vol.64 感染対策とは 〜ナイチンゲールからの教え〜

2023.06.10

Let's study

私たちが知っておきたい知識を専門家から学ぶこのコーナー。

感染症看護専門看護師の立場から連載いただく3回目は、「感染対策」について伺います。

今から15年ほど前、私は看護師を目指し看護系の大学に入学しました。看護学生は、【看護覚え書】というものを学生時代に必ず学びます。これは、フローレンス・ナイチンゲールによって一世紀以上も前に書かれたものですが、現在も看護の思想の原点となっております。このナイチンゲールの言葉の中に今回取り上げたい言葉があったので紹介したいと思います。ナイチンゲールは、「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさを適切に整えることである(一部抜粋)」と語っています。これは、ナイチンゲールがクリミア戦争で兵達が負傷で亡くなるよりも、不衛生な療養環境による感染症で亡くなることが多かった経験から、療養環境を整えることの重要性を述べたと言われています。つまりは、どんなに良い薬や医療機器があっても、周囲の環境が不衛生であると感染症を起こし、十分な治療や療養ができないということです。これは患者さんに対する行動であるが、コロナ禍の現代の生活にも通ずるものがあります。例えば、換気の必要性が叫ばれ冬の電車でさえ窓を開けて走行し、また、飲食店にはアルコール手洗いを設置し、いつでも手を清潔に保てるようになりました。新型コロナウイルスという治療薬がない感染症により環境を整える重要性を再認識した結果、ここ数年、インフルエンザなどの感染症の流行が減少しました。感染対策とは、感染症が発生してから行うものではなく、普段から環境を適切に整えておくことであると、看護の母から改めて教えられました。

国立がん研究センター中央病院

感染症看護専門看護師

櫻田直也

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