Let's Study
Vol.65 ワクチン接種状況の確認
2023.09.10
Let's study
私たちが知っておきたい知識を専門家から学ぶこのコーナー。
感染症看護専門看護師の立場から連載いただく最終回は、「ワクチン接種状況」について伺います。
東京都内の男女2人が麻疹(ましん)に感染していることが確認されたと、2023年5月12日に都から発表がありました。都内で感染が確認されたのは3年前の2020年以来です。疫学調査の結果、4月28日に茨城県で確認された麻疹患者との接触歴があったようです。この3人は顔見知りの関係ではないので会話もなく、ただ、新幹線の同じ車両を利用していたとのことでした。
麻疹は主に子どもに感染しやすく、空気中に浮遊するウイルスを通じて感染が広がる感染症です。麻疹は非常に感染力が強いため、集団感染を起こすことがあります。予防策としては、麻疹ワクチンの接種が重要です。
今回、感染した2人はどうして麻疹に感染したかというと、どちらもワクチン接種歴なし、または不明でした。麻しんの定期予防接種は、第1期が1歳児、第2期が小学校就学前の1年間とされています。厚生労働省の報告では、90〜95%の方が2回の接種を済ませていますが、未接種の方がいることも事実です。感染対策の一つとしてワクチン接種は非常に重要な内容であることが今回の事例を通じてもわかりました。
皆さんが持っている接種記録の多くは母子健康手帳です。母子健康手帳にはワクチンの種類や接種時期などが記載されていますが、その存在すら忘れられている場合があります。ご自身のワクチン接種状況を確認し、未接種、または接種歴がわからない人はかかりつけ医に相談のもと、早めに予防接種を受けてみてはいかがでしょうか。また、お子さまの接種状況や接種スケジュールも確認してみてください。
国立がん研究センター中央病院
感染症看護専門看護師
櫻田直也